※田中宇(さかい)氏のメルマガにて興味深い情報が入って来たので追記します。結論として、スティーブ・バノン氏の辞任は、表向きとは異なり影響があまりないようです。以下、結論から先に書きます。

【結論】

以下田中宇氏のサイト:バノン辞任と米国内紛の激化 2017/8/21から引用(注は本ブログ運営者)

トランプ政権は、(1)貿易や外交の分野での覇権放棄・貿易圏潰し、(2)国内経済のテコ入れ、政権維持策としてのバブル延命(注)、(3)米国社会を分裂させて支持基盤を拡大、の3つの戦線をたたかっている。今回は、共和党に阻止されている(2)を進めるためバノンが辞任(注)し、バノンは政府外に戻って(3)の推進に注力することにした。(1)は、バノンがいなくても進められる。(2)が失敗して今秋、米政府閉鎖や金融危機が起きると、トランプの人気は下がるが、米国覇権の衰退に拍車がかかり、トランプやバノンの目標である米覇権の解体(注)が進む。

※「バブル延命」とは金融緩和による株式、債券市場の高値維持のことだろう。

※「米覇権の解体」とは、要は、米国自体財政赤字とその他国内問題で手一杯で、余裕も全くないから、それぞれの国に可能な限り任せて米国の国内問題に集中するよ、という意味合い。(米国も借金だらけで、国内の分裂も深刻(南北戦争が起きると言われている程)なので、内政重視で、何とか米国を立て直したいのだろう。)

※「バノンが辞任」とは公務員でなくなった同氏が政権の外で好き放題吠えてトランプを応援するということだろう。

(引用以上)

以下同サイト主要部分を転載

▼バノン辞任で経済政策での共和党の妨害をやめさせ、バブルと政権を延命したいトランプ

(中略)

トランプは、バノンが立てた戦略を放棄することにして、バノンを辞めさせたのか。そうではないだろう。覇権放棄と経済ナショナリズムを組み合わせた米国第一主義によって、米国と世界の軍産支配を壊しつつ、リベラル主義の席巻で政治的に疎外されてきた、大都会でなく地方に住む、中産階級や貧困層の白人の支持を集めて政治力を維持するバノンの戦略を、トランプはまだ必要としている。覇権放棄・軍産退治・反リベラルは、16年夏にバノンを起用する前からのトランプの姿勢だった。 (Why Steve Bannon isn’t going anywhere) (Steve Bannon’s Departure Won’t Change Donald Trump

トランプが、盟友であるバノンを辞めさせ、バノンが立てた策を棚上げした理由は、そうしないと税制改革(減税)やインフラ整備の財政出動、財政赤字上限の引き上げ、来年度政府予算の編成などが共和党の主流派や茶会派に阻まれたままになり、株価の急落、赤字上限引き上げ失敗による政府閉鎖や、米国債の利払い不能(デフォルト)が起きてしまうからだろう。財政赤字上限は、夏休み明けの米議会再開から12日後の9月29日までに引き上げる必要がある。審議時間が少ない。

(中略)

共和党主流派は、米国の金融界や大企業、金持ちの代理人であり、金融財政の混乱を好まない。トランプ自身、大金持ちの財界人の一人だ。トランプがバノンを辞めさせる代わりに、共和党が赤字上限の引き上げや税制改革などを議会で通すという合意が交わされた可能性がある。バノンは、金融界や大企業による支配を敵視している(彼も元ゴールドマンサックスだが)。しかしその一方でバノンは、トランプが政権を維持し、覇権放棄や軍産退治を進めることも願っており、辞任に応じることにしたのだろう。 (Goldman Sees 50% Chance Of A Government Shutdown) (Don’t fall for the White House spin on Stephen Bannon’s ouster

(中略)

トランプ政権が始まって半年経ち、トランプは政権運営の技能をかなり高めた。バノンの助力がなくても、トランプはやっていける。半面、バノンは大統領府にいる限り、軍産マスコミの標的にされ、動きを妨害され、封じ込められ続ける。このあたりで辞任して、外からトランプの軍産との格闘や再選を支援した方が良いと、バノン自身が考えたとしても不思議でない。 (Steve Bannon is ousted as the president’s chief strategist

▼南北戦争の対立構造の復活、米国社会の分裂、トランプ支持基盤の維持と多極化

バノンが、大統領府の外にいた方がやりやすいトランプ支援策として最近新たに出てきたのが、南北戦争で負けた南軍を記念する、全米各地にある1500ほどある将軍や兵士の銅像や記念碑を、撤去していこうとするリベラル派(北軍の思想を継承)と、撤去を阻止しようとする右派との対立が、急速に激化しつつあり、これがそのまま反トランプと親トランプの戦いになっている構図だ。 (Oliver Stone: “1984 Is Here”) (Here are 1,500 symbols of the Confederacy in the US

この対立は、2015年6月に、サウスカロライナ州チャールストンの黒人が集まるキリスト教会で、黒人を敵視する右派青年が銃を乱射した事件に始まった。犯人の青年が南軍の旗を好んでいたことから、全米の州議会などで、南軍の旗や銅像を人種差別を助長するものとみなして撤去する動きが広がった。これに対し、右派の市民運動が撤去反対を強め、それまでバラバラだった全米の各種の右翼や保守派が、南軍像撤去反対で結束するようになった。

(中略)

マスコミと、そこに出る著名人の多くはリベラル側なので、撤去反対派は、人種差別主義者・KKK・ネオナチなどのレッテルを貼られている。たしかに撤去反対派の中には、KKKやネオナチへの支持を表明する者たちもいる。チャールストン乱射事件もシャーロッツビル事件も、右派が、黒人やリベラルを殺害しており、その点でも撤去反対派=悪である。だがシャーロッツビルの衝突後、南軍像の撤去に反対する勢力は、人種差別主義を超えて、これまでの米国の社会でのリベラル主義の席巻・いきすぎによって、政治的に疎外されてきた地方の中産や貧困層の白人が、自分たちの尊厳を取り戻そうとする動きへと発展し始めている。 (Steve Bannon’s work is done. Donald Trump doesn’t need him now) (“The Entire Dynamic Has Changed” Far-Right Groups Becoming Increasingly Visible On Campus

これは、リベラル=ヒラリー・クリントンと、反・非リベラル=トランプが戦い、トランプが勝った昨年の大統領選挙の構図と同じである。この問題が全米的な話題であり続けるほど、撤去反対派は、KKKやネオナチを離れ、リベラル(軍産マスコミ)のいきすぎを是正すべきだと考える人々を吸収していく。それは、再選を狙うトランプの支持基盤の拡大になる。だからトランプは、シャーロッツビル事件に関して、自動車突っ込みの加害者となった右派(撤去反対派)を非難したがらず、喧嘩両成敗的なことを言い続けた。右派メディアのブライトバードの主催者に戻ったバノンは、再び盛り上がっていくリベラルvs右派の対立軸の中で、親トランプな右派の旗振り役となり、リベラル軍産・マスコミ・民主党との戦いという、彼が最も好む戦場で活躍できる。(Ousted Steve Bannon pledges to turn fire on Donald Trump’s White House) (Steve Bannon: ‘I’m leaving the White House and going to war’

南北戦争の構図が復活するほど、米国社会は分裂がひどくなり、国家として統一した意思決定が困難になっていく。すでに右派のトランプ政権の就任後、リベラルや軍産が席巻する議会との対立で、国家的な意思決定ができない状態だ。トランプは大統領令を乱発し、覇権放棄をやっている。リベラルが強いカリフォルニア州では、トランプが権力を持つ米連邦からの分離独立を問う住民投票を行う政治運動が拡大している。

(中略)

Pat Buchanan Asks “In This Second American Civil War – Whose Side Are You On?”) (Californians are talking about trying to leave the United States in a ‘Calexit’

(引用以上、追記以上201708/21)

 

前回に引続き、トランプ政権の陣容を記したいと思います。今迄に類を見ない程の波乱のスタートとなっており、ここの所、主要閣僚の更迭が相次いでいます。前回のブログで上げただけでも、以下の3名が(その他多すぎて分からないぐらいの人がホワイトハウスを去っています)外交については、キッシンジャー氏が支えているようですが、内政面ではオバマケア改廃の失敗、失言による相次ぐ財界人の離脱等、政権運営は困難が続いています。家族以外は使い捨てで、大統領の娘のイヴァンカ・トランプと娘婿のジャレッド・クシュナー以外は、大統領から信用されていないように見えます。兎にも角にも、陣容が固まらないことには、どんな政権もうまくはいかないと思われますが、これからどうなるのか、報道から目が離せません。

以下、番号は前回のブログのリストから。赤字は交代。

1.ドナルド・トランプ大統領
2.ジャレッド・クシュナー(大統領アドバイザー。娘のイヴァンカ・トランプの夫)
3.ラインス・プリーバス大統領首席補佐官→ジョン・F・ケリーに交代
4.ジョー・ヘイギン大統領次席補佐官
5.H・R・マクマスター国家安全保障担当補佐官
6.ディナ・パウエル国家安全保障次席補佐官
7.マイケル・アントン国家安全保障会議スポークスマン
8.レックス・ティラーソン国務長官
9.ウィルバー・ロス商務長官
10.スティーブン・ムニューシン財務長官
11.スティーブ・バノン主席戦略官(後任は未定)
12.スティーブン・ミラー大統領上級アドバイザー
13.ゲイリー・コーン国家経済会議議長
14.ショーン・スパイサー(ホワイトハウス報道官)→サンダーズ報道官に交代
※ジェームズ・マティス(国防長官:写真に写っていないがテレビ会議で参加)

出典:日本経済新聞2017/08/20:トランプ氏、窮余の「バノン切り」 政権瓦解回避

一応、正式な閣僚の順位は以下の通りとなっています。

1 副大統領兼上院議長 マイク・ペンス (共)

2 下院議長 ポール・ライアン (共)

3 上院仮議長 オリン・ハッチ (共)

4 国務長官 レックス・ティラーソン (共)

5 財務長官 スティーヴン・マヌーチン (共)

6 国防長官 ジェームズ・マティス (無)

7 司法長官 ジェフ・セッションズ (共)

8 内務長官 ライアン・ジンキ (共)

9 農務長官 ソニー・パーデュー (共)

10 商務長官 ウィルバー・ロス (共)

11 労働長官 アレクサンダー・アコスタ (共)

12 保健福祉長官 トム プライス (共)

13 住宅都市開発長官 ベン・カーソン (共)

運輸長官 イレーン・チャオ (共)

14 エネルギー長官 リック・ペリー (共)

15 教育長官 ベッツィ・デヴォス (共)

16 退役軍人長官 デービッド・シュルキン (無)

17 国土安全保障長官 ジョン・F・ケリー (無)

出典:wikipedia, アメリカ合衆国大統領の継承順位

閣僚級高官

大統領行政府 大統領首席補佐官  ジョン・F・ケリー
行政管理予算局  行政管理予算局長  ミック・マルバニー
環境保護庁  環境保護庁長官  スコット・プルーイット
国際連合 アメリカ合衆国政府代表部  国際連合大使  ニッキー・ヘイリー
大統領経済諮問委員会 大統領経済諮問委員長  ※未定
中小企業庁  中小企業庁長官  リンダ・マクマホン

出典:wikipedia, アメリカ合衆国大統領顧問団

 

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